1 いじめの防止についての基本的な考え方
いじめは,いじめられた生徒の心身に深刻な影響を及ぼす許されない行為である。そして,いじめには,だれもが被害者にも加害者にもなりうるという側面がある。これらの基本的な考えを基に,教職員が日頃からささいな兆候を見逃さないように努めるとともに,学校全体で組織的に対応していくことが大切であると考える。また,けんかやふざけ合いであっても,その背景にある事情を調査し,生徒の感じる被害性に着目して対処していく必要があると考える。
そして,本校の教育目標のもと,生徒が教職員や周囲の友人との信頼関係の中で,安心・安全に生活し,だれもが楽しく登校できる学校づくりを目指し,生徒一人一人が自分を大切にし,互いに認め合える人間関係をつくり,集団の一員としての自覚と自信を身に付けることができるよう,教育活動に取り組んでく。また,そうした中で,自己肯定感や自己有用感を育み,生徒が仲間と共に人間的に成長できる魅力ある学校づくりを進めていく。
2 いじめ防止対策組織
「いじめの防止等の対策のための組織」は,現在ある「生徒指導部会」または「いじめ・不登校対策委員会」の組織を活用し,機能させていく。いじめのささいな兆候や懸念,生徒からの訴えを,特定の教員が抱え込むことのないよう,情報交換を行い,組織として対応する。
(1) 「学校いじめ防止基本方針」に基づく取組の実施と進捗状況の確認
・ 週に1回,生徒指導部会を開催し,報告・連絡・相談を密に行い,全校体制で取り組んでいく。
・ 学校評価アンケートを行い,学校におけるいじめ防止対策の検証を行い,改善策を検討していく。
(2) 教職員への共通理解と意識啓発
・ 年度初めの職員会議で「学校いじめ防止基本方針」の周知を図り,教職員の共通理解を図る。
・ 生活アンケートや教育相談の結果の集約,分析,対策の検討を行い,実効あるいじめ防止対策に努める。
(3) 生徒や保護者,地域に対する情報発信と意識啓発
・ 学年集会や学年PTAの場での講話や,生徒指導便りやホームページ等を通して,いじめ防止の取組状況や学校評価の集約結果等を発信する。
(4) いじめに対する措置(いじめ事案への対応)
・ いじめがあった場合,あるいはいじめの疑いがあるとの情報があった場合は,正確な事実の把握に努め,問題の解消にむけた指導・支援体制を組織する。
・ 事案への対応については,適切なメンバー構成を検討し,迅速かつ効果的に対応する。また,必要に応じて,外部の専門家及び関係機関と連携して対応する。
・ 問題が解消したと判断した場合も,その後の生徒の様子を見守り,継続的な指導・支援を行う。
3 いじめの防止等に関する具体的な取組
(1) いじめの未然防止の取組
ア 生徒同士の関わりを大切にし,互いに認め合い,共に成長していく集団づくりを進める。
イ 生徒の活動や努力を認め,自己肯定感を育むよう努める。
ウ 教育活動全体を通して,道徳教育・人権教育の充実を図るとともに,命の大切さ,相手を思いやる心の醸成を図る。
エ 情報モラル教育を推進し,生徒がネットの正しい利用とマナーについての理解を深め,ネットいじめの加害者,被害者とならないよう継続的に指導する。
(2) いじめの早期発見の取組
ア 生活アンケート等を実施し,生徒の実態把握を行い,生徒理解に努める。また,担任との二者懇談やスクールカウンセラーによる相談活動の充実を図る。
イ 教師と生徒との温かい人間関係づくりや,保護者との信頼関係づくりに努め,いじめ等について相談しやすい環境を整える。
ウ いじめ相談電話等,外部の相談機関を紹介し,生徒が相談しやすい環境を整える。
(3) いじめに対する措置
ア いじめの発見・通報を受けたら「生徒指導部会」または「いじめ・不登校対策委員会」を中心に組織的に対応する。
イ 被害生徒を守り通すという姿勢で対応する。
ウ 加害生徒には教育的配慮のもと,毅然とした姿勢で指導や支援を行う。
エ 教職員の共通理解,保護者の協力,スクールカウンセラーやソーシャルワーカー等の専門家や,警察署,児童相談所,教育委員会等の関係機関との連携のもとで取り組む。
オ いじめが起きた集団へのはたらきかけを行い,いじめを見過ごさない,生み出さない集団づくりを行う。
カ ネット上のいじめへの対応については,必要に応じて警察署や法務局等とも連携して行う。
キ いじめが解消されたと判断するには,その行為の止んでいる状態が相当期間継続しており,かつ,被害生徒及びその保護者が心身の苦痛を感じていないということを拠り所とする。
4 重大事態への対応
(1) 重大事態が生じた場合は,速やかに教育委員会に報告をし,「重大事態対応フロー図」に基づいて対応する。
(2) 学校が事実に関する調査を実施する場合は,「いじめ調査委員会」を開催し,事案に応じて適切な専門家を加えるなどして対応する。
(3) 調査結果については,被害生徒,保護者に対して適切に情報を提供する。
5 学校の取組に対する検証・見直し
(1) 学校いじめ防止基本方針をはじめとするいじめ防止の取組については,PDCAサイクル(PLAN→DO→CHECK→ACTION)で見直し,実効性のある取組となるよう努める。
(2) いじめに関する項目を盛り込んだ教職員による取組評価及び保護者への学校評価アンケートを実施し,職員会議または生徒指導部会,いじめ・不登校対策委員会でいじめに関する取組の検証を行う。
6 その他
(1) 「学校いじめ防止基本方針」は4月に保護者へ配付するとともに,ホームページに掲載する。
(2) 長期休業中の事前・事後指導を行い,休業中のいじめ防止に取り組む。